機器の状態インジケーター(健康インジケーター)の閾値設定は、現場の方を含めた専門知識(ドメインナレッジ)が大きく影響します。
仮に、閾値が物理的な量(例:加速度や応力)の場合は、予め仕様で定義されている値や現場の状況を反映した値が設定できます。
一方で、閾値が不明な場合は、まず特徴量が特徴空間でどのように変化しているかを観察することが重要です。
例えば、デモでご紹介した風力タービンの例に対して、弊社のドキュメントでは、以下のように記載されています。
「しきい値の選択は、通常はマシンの過去の記録または何らかのドメイン固有の知識に基づいています。このデータセットでは履歴データが利用できないので、健康インジケーターの最後の値をしきい値として選択します。」
すなわち、この例では、最後の日は故障またはそれに準ずる状態であると仮定しているため、状態インジケーターの最後の値を閾値と設定しています。
このように、一旦、閾値を観測可能な最後の時刻周辺の状態インジケーターの値と仮定し、そこから機器の挙動を分析する方法も、一つのアプローチであると考えます。
もちろん、その際、閾値を過少(または過大)評価しているため、実際の故障よりも早く(または遅く)故障が起きてしまう可能性があります。
そのため、閾値を設定する際は、現場の方々の専門知識がより一層、重要となります。
その後のステップとては、仮に設定した閾値に対して、解析や「特徴量が特徴空間でどのように変化しているか」などを通して、閾値の値をより小さめに見積もるか、あるいは、大きめに見積もるかを判断する方法も実用的と考えます。